1. エステティックグランプリHOME»
  2. エステ感動物語»
  3. 第5回大会»
  4. 2015年第5回エステ感動物語 エステティシャン部門 最優秀作品賞

2015年第5回エステ感動物語 最優秀作品賞

第5回エステティックグランプリのエステ感動物語 エステティシャン部門の受賞作品をご紹介します。

2015年第5回エステ感動物語 最優秀作品賞「「 感謝 」~諦めない心~」

私がエステティックサロンに勤めはじめた10年前は、地方ということもあり、エステをされている方がまだ少ない時代でした。
まして、北陸という土地柄的に、親にも出来ない肌やカラダの話しを、他人に相談するなんて・・・!! という、奥ゆかしく保守的なお心の方が多く、悩みを解消したいという前向きな期待の気持ちを持たれつつも、不安な思いも大きく、その両方のお気持ちでご来店される方が非常に多かったように思います。
お客様のそういった不安を解消して、綺麗を手に入れ、心からの笑顔になって頂きたいという一心で、仕事に取り組みました。
目の前のお客様がご理解とご納得、安心なさるまで、丁寧にカウンセリングを重ねることを大切にし、お客様のお気持ちを伺うだけで2時間を超えることもありました。
サロンに勤め始めた当時、二歳の娘を保育園に預けて働いていた私は、お客様の接客にお時間を費やす事で、時間が過ぎてしまい、保育園への電話もできないまま時間が過ぎ、延長保育に慌てて迎えに行く事が何度もありました。
そんな日々が続いたある日、 「そこまでして働かなきゃいけないの?!」「女のヒトがこんなに働く仕事があるの?」と、周囲の人から言われてしまったのです。
気遣いも含まれていたのだろうと、今なら思えますが、当時は、人を笑顔と幸せに出来る素晴らしい仕事を精一杯頑張っているはずなのに、その反面幼い娘や家族に負担を掛けているのだと・・・、その言葉が胸に突き刺さり、自分を責め、保育園へ向かう車の中で涙が溢れ止まらなくなりました。

子供に誇れる仕事がしたい。
子供が大きくなって、ママの仕事を聞かれた時、子育ての為にしたい事が出来なかったとは言いたくない。
やりたい事を精一杯頑張りたい!そう思って私はエステの仕事を決めた! そのはずなのに・・・、 私には無理だったのか、私の選択は間違っていたのか・・・?と悩み、気持ちが塞ぎ込んでしまいました。

そんな折、首都圏から旦那様の転勤で越して来られたお客様がご来店され、私が担当させて頂くことになりました。
お客様の性格がとても前向きな方なのと、県民性も違うこともあり、エステティックのトリートメントに対して積極的にお悩みをご相談して下さり、「やってみるわ!」と、前向き に通って下さいました。
普段スポーツジムでトレーニングされたり、茶道を習われたり、アクティブに毎日を楽しまれているそのお客様には、私の娘と似たお年頃のお嬢様がおり、トリートメント中のお話しは、美容の事はもちろん、お互いの子育ての事もたくさん話題にあがり、共感する部分がとても多く、会話が途切れる事はありませんでした。
毎日が充実されていて、外面も内面も素敵なその方が、あるとき突然ポツリと「あなたが羨ましいな」とおっしゃったのです。
思いもしなかった意外なお言葉に言葉も無く、びっくりしていると、 「子育てしながら、人の悩みを聞いて、人を綺麗に出来るなんて、本当に素敵よね!羨ましいわ!家族に理解してもらえる環境も、全部全部、羨ましい!」と、おっしゃられたのです。
まさかそんな風に思ってくれていたなんて・・・。
私は思わず「全然ダメなんです!! お客様が思われるようなエステティシャンには、まだまだ程遠いんです!」と、お言葉を返してしまいました。

ですが、そのお客様はニコニコして 「あなたに出会ってから、あなたみたいに外に出て働きたくなって、家族に何度も相談したけど、全然わかってもらえなくて・・いい顔してくれないから、だから、もう諦めているけど、その分ここに来るのが何より嬉しいし、あなたの諦めない前向きな人生が好きよ!」 と、言って下さったのです。

そのお客様からのお言葉で、『私は何をくよくよ悩んでいたのだろう、やりたい事を頑張らせてもらえる環境にいるのに!』と、はっとなりました。

人生は一度きり、頑張りたいという気持ちがあれば、そう思ったその日が、スタートするチャンス!そう思ってこのサロンの面接を受けた私。
それなのに、その気持ちを忘れてただ単に弱音を吐いて泣き言を言っていた自分に気が付いたのです。

周りに余計な気遣いをさせないように、頑張ろう! 今迄以上に、仕事と家庭と子供との時間と気持ちのバランスを良くする事を意識して、そして毎日を笑顔で楽しむ心を大切にするようにしました。
その毎日を積み重ねていくことで、再び自分のエネルギーが湧いてくるのを感じました。
そのお客様のトリートメントは進み、終了を迎えたとき、 「また、きっと来るからね、忘れないでね」と、にっこり微笑まれ、私のほうこそまた再会させて頂きたい気持ちをお伝えし、感謝を込めてお見送りしました。

あの日から10年経ちました。
毎日、緊張感と使命感を持ち、今日もフロントに立ち、お客様お一人お一人の綺麗と笑顔を願い、お手伝いさせて頂いています。

そして、お店が移転リニューアルした今年、なんと、そのお客様が、ご来店下さったのです!! すっかりお年頃になられたお嬢様を連れて!!

すぐにこちらに気付いて下さって、第一声
「わー!やっぱりいてくれたのね!そろそろ娘のトリートメントをお願いしたくて来たの!信頼出来るから!」と!
本当に感謝の気持ちでいっぱいになり、この再会のおかげで、エステティックのお仕事の素晴らしさを、改めて実感しました。

同じ頃、うちの娘もサロンへ足を運ぶようになりました。
たまたま新人スタッフの練習モデルをさせてもらった際、その様子を見に行くと、瞳をキラキラにして
「ママ!あのスタッフさんに仕事中のママのこと聞いたよ!今迄ママの仕事詳しく知らなかったし、人の体を触る仕事って大変って思っていたけど、スタッフさんから話し聞いて、エステって凄く素敵な仕事だって思ったよ!」と、駆け寄って来ました。
そう話す娘を見て、
『私の選んだ道は、間違っていなかった!』と、湧き上がる喜びに胸がいっぱいになりました。

人との関わりによって生まれたひとつの気持ちが、一歩を踏み出す力になり、その一歩一歩が、次は大きな幸せを運んでくることを知りました。

お義母様からは、
「ママはしたい事があっていいね。
女はね、したい事、欲しい物、行きたい場所が無くなると、ダメなんだって。
ママ、仕事、頑張りなさい。」
と励ましの言葉を頂き、背中を押してもらいました。

人生で関わる人々との出会いを大切に、感謝と向上心を忘れず、これからもエステティックから学び得たことを、関わる人々にお返ししていきます。

お問合せはこちらから よくある質問

© since 2010 ESTHETIQUE GRAND PRIX All rights reserved.