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2018年第8回エステ感動物語 準優秀作品賞

第8回エステティックグランプリのエステ感動物語 エステティシャン部門の受賞作品をご紹介します。

2018年第8回エステ感動物語 準優秀作品賞「優しさ連鎖」

まだこの仕事に就く17年前、当時、三歳とまだ生後半年にもならない二人の子どもを抱えて離婚をし、誰もが知っている大手企業に私は勤めていまし た。当時の状況や条件を考えれば、そのままお世話になることを選ぶ人の方が圧倒的に多いでしょう。
土曜日も日曜日もきっちりお休み。給料だって保証されています。でも私はその大きな保証を捨ててこの仕事を選びました。「母の背中」を見て育つ 我が子たちの、この先、生きてゆく上での判断基準に私がなることに、覚悟を持っての選択です。
当時はまだ、いわゆる「手に職をつける」という昔かたぎなスタイルな職種。この仕事で食べていけるようになりたい!いつか子どもたちが大きくな って夢を持ったときにお金の問題で諦めさせるような生活はしたくない!私が両親からしてもらったように黙ってチャレンジさせてあげられる親にな りたい!一番身近な大人が愉快に生きている姿を見て育って欲しい!
新人の私。まずは知識が必要だよね!技術力も必要だよね!私、頑張ります!隣の同期より一人でも多くのお客様から支持されるセラピストにならな きゃ!いや、なるんだ!成長したい!成長したい!成長したい!この世界で強く生きてゆく力を身に付けたーーーい!
それには小さな子どもを抱えた一般的な生活からは相当かけ離れた「時間」が必要でした。子どもと遊ぶ時間はない、もちろんお金もない。まだまだ 引き出しの未熟な当時の私。自分に任せていただけるお客様が増えれば増えるほど、調べることや練習するポイントが増えるのに、子どもは容赦なく お腹をすかせます。学びたいと思う反面、集中できず、子どもが邪魔にさえ思え、何のためにこの仕事を始めたのかもよくわからないほど子どもにイ ライラし、またそんな自分にいつも怒っていた20代でした。
嵐の渦中にいるときは必死過ぎて気付かないことが多いものです。30代になり、ご縁あって再婚をすることになりました。
このころには仕事をする上での自分のスタイルが確立していました。だからこれがエステティシャンとしての私のターニングポイントになるなんて思 いもしなかったのです。
今の主人と一緒に生活するようになり、私はたくさんの温かい気持ちを知りました。自分をそのまま受け入れてくれる存在が、自分とちゃんと向き合 ってくれる存在が、こんなにも自分の思考に色を与えてくれることを知りました。私に触れる手に安心できると、こんなにも力を抜ける場所になるん だという、忘れていた感覚を取り戻しました。枯渇した生活を経たからこそ深く理解できたのだと思います。
すると、子どもに対する感情がまるで違うものになりました。お恥ずかしい話ですが、やっと親らしい思いを持つ余裕ができたのです。そしてそこで 初めて「親として私はどうなんだ」という反省が生まれ、ゆったりと構える努力をするようになりました。
そんな気持ちの変化は仕事観をも変えました。負けたくない!専門性を持った仕事をしたい!もっと素晴らしいセラピストになりたい!そんな向上心 も、いい意味で尖った部分が削がれました。
「お客様の呼吸に合わせる」そんな手技一つも、ただ胸郭の動きに合わせるだけでなく、その方の生きて来た背景・考え方・今の心の状態などを想い、 深さを持つようになりました。お客様の人生に思いを馳せると感謝が生まれます。出会ってくれてありがとう。今日、この時間を一緒に過ごすことが できて嬉しいです。あなたの笑顔が大好きです。ありがとうございます。心の中で思うことを、私の手が、大切に大切に伝えてゆきます。
以前の私なら「甘いよね」で一蹴です。そんなキレイごとでご飯は食べられないでしょ?って。でも、そんな自分もあったからこそ今のスタイルがあ ります。
心を委ねられる相手がいると優しくなれます。力を抜ける場所があると人は緩くなれます。優しい言葉が発せられます。が、やっとそれを理解できた 私には、今年成人式を迎えた息子との、あの純粋であどけなくて優しいはずだった時間をもう取り戻すことはできません。
勝手なお願いですが、あなたに優しいお母さんでいて欲しい。優しい奥さんでいて欲しい。優しい先輩でいて欲しい。さらにそこから次世代に繋がる 言葉が温かいものであって欲しい。優しさ連鎖。そんなことを願いながらお手入れさせていただいています。
今日もコンプレックスを持ったたくさんのお客様がみえられます。そんなキュッとなった心を一つ一つ解放して、お肌も体も心も柔らかくなっていた だくのが私の仕事です。ちょこっとの自信を生むのが私の役割です。この空間を一歩出たら小さなことに微笑むあなたになれる。頑張っている女性を 応援することが私のミッションです。
今日もあなたの一言が誰かの心を救う一日でありますように。

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