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2016年第6回エステ感動物語 最優秀作品賞

第6回エステティックグランプリのエステ感動物語 エステティシャン部門の受賞作品をご紹介します。

2016年第6回エステ感動物語 最優秀作品賞「恩返し」

「そんな仕事、辞めちゃいなさい!」
毎晩遅くに帰る私に、母はいつもそんなことを言っていました。

エステティックという仕事は、家事や仕事など、働く女性の癒しの空間・元気を与えられるサービス業・美容や健康のお悩みを改善に導くことのできる、やりがいのあるお仕事です。
今となっては揺るぎ無くそう思えるけど…
私が入社したのは10年前の春。
当時、エステティシャンになるために美容専門学校を卒業し、まだ間もなかった頃です。
よくメモをとって得た知識、努力して何度も何度も復習して覚えた技術、昔から掃除は好きで綺麗好き、エステティシャンになるために生まれてきたのかもー!
と思えるくらい、のめり込んでエステティシャンになり、お客様にそれらをご提供できることが幸せと感じていました。
サロンでの技術の習得や、物販に必要な知識など、一通り覚えテストに合格し、お客様の接客をして半年経った頃からいつの間にか、私の目の前の目標は、売上を出すことになっていました。
「こう話せば、契約につながる。」
「お肌がこういう状態だから、この化粧品が必要です。」
「もっと痩せるから、このオプションつけましょう!」
あたかも理屈は通じているようにも思えますが、私から発した言葉は、私のしたいことばかり…
なんでこのお客様は痩せたいはずなのに言った通りにならないんだろう…なんでこのお客様には解ってもらえないんだろう…
そのうち、だんだんとお客様に接客するのが怖くなっていきました。
何を話しても通じない…
でも話さないと売上に繋がらない…
だんだんとこの仕事が嫌になりました。
エステティシャンになりたくて学校に行き、この手でお客様のニーズに応えたい!山口さんのお陰で『私綺麗になりました!』『サイズが変わりました!』そう言ってもらえることを夢見ていたのに…
そんなことを毎晩考えては、愚痴をこぼし、悩んでは泣いての繰り返し…そんな姿を母は見ていました。
そんなとき、
『そんなに辛いなら、その仕事辞めちゃいなさい!』
この言葉は日に日に多くなっていきました。
入社した頃のワクワクした姿とはかけ離れ、元気ややる気のでない私の姿を見かねた先輩が、私の真正面に座り、心も体も向き合わせて、じっ…と私の目を見て私が何か言うの待っていました。
ただ…私の口からは言葉が出てきません。
出てきたのは大粒の涙でした。
『そんな辛い想いをさせてしまっていたんだね。
ごめんね、気づかなくて。』
先輩はそう言ってくれました。
私の気持ちを察してくれました。
先輩の優しい心に胸が熱くなりました。
想っていたことを全て打ち明け、想いを聞いてもらえたら、さっきまであった心のモヤモヤが、不思議とスッと無くなりました。苦しかった胸がワクワクに変わっていきました。
ここで先輩に気づかされたのです。
これまで私に足りなかったものは、お客様の“心の声を聴いてあげること”だったのかもしれません。
この尊敬する先輩も、以前は仕事に行き詰まった時に『私エステティシャンにむいてないかも…』と、幾度となく苦い思いをした、と話してくれました。
『誰にだって失敗や苦い経験がある。でもそれをするから、成長できるんだよ!何もチャレンジしないでいまの自分は乗り越えられないよ!』
そう言ってくださいました。
自分がしてほしいことは先にしてあげる。
“情けは人の為ならず”
私がしたかったお客様のためを思った発言は、
まずはお客様の想いを聴いてあげてから。
その後、親身になってお客様のお話に耳を傾けていくようになり、自然とご提案する内容が変わってきました。お手入れのコースも『お任せします』と言っていただけるようにもなりました。
そして月日が経ち、親元を離れて暮らすようになった時、久しぶりに母と会い、仕事の話をする機会がありました。
『今は後輩にいろんなことが教えられるようになったよ。失敗経験がたくさんあるからこそ、わかってあげられる今だからこそ、教えてあげられているよ!』
『私も先輩にしてもらってきたことをいまやっとしてあげられるようになってきたよ、まだまだだけどね。』とワクワク得意げに話しをしていました。
ふと母を見ると、泣いていました。
夜な夜な泣いて悩んで、翌朝には仕事に行く私をずっと見ていた母…『善い人たちとめぐりあったんだね、本当によかったね、善い職業についたね…』と。
『お母さん…晴代をエステの学校に行かせたのが間違っていたんじゃないかと思ってずっと後悔してたの。学校に行かせなければそんな辛い想いをしなくて済んだのに…。そんな姿をみてきたから、辞めてしまえば?とか言ってきたけど…続けてやりがいを見いだせて、諦めず、やってこれてよかったね。後輩のためになるようなことができるようなってよかったね。』
母の涙をみて、社会人になって初めて親孝行が出来た気がしました。
高い学費を工面して、女手ひとつで育ててきてくれた母が泣いて喜んでいる。続けてやってきた甲斐がありました。
何より私の話を聞いてくださり、アドバイスや叱咤激励をしてくださる上司、先輩方、より善いお店を創ろうと想いを語り合えるスタッフのみんな、すごく、すごく感謝をしております。ありがとうございます。
エステティシャンとしても社会人としても、まだまだ未熟なところはありますが、やってきてよかったと胸をはれる仕事に就けて今は幸せです。この経験や想いを胸に、たくさんの人を幸せにできるよう、これからも励んでいきます。
私の仕事は『天職』です。
今まで関わってきた皆様本当にありがとうございました。
これからもどうぞよろしくお願いします。

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