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2018年第8回エステ感動物語 最優秀作品賞

第8回エステティックグランプリのエステ感動物語 学生部門「未来のエステティシャン」の受賞作品をご紹介します。

2018年第8回エステ感動物語 最優秀作品賞「施術をするということ」

エステティシャンにとって一番大切なことってなんだろう。
私がエステを学んでいる国際理容美容専門学校のビジネス美容科では毎年エステティックコンテストに出場しています。校内で予選会があり、その中 から選ばれた数名が出場することができるのです。学校の代表なんてとても名誉あること。私はその大会に出たくて仕方ありませんでした。
予選会までは放課後練習を繰り返す毎日。それは他のクラスメイトも同じで、予選会に向けてたくさん練習を重ねたと思います。先生方の滑らかな手 つきを目に焼き付けて、どうにか近づこうと研究を繰り返し、先生の仰ることを一つも漏らさないように必死でメモを取りました。
そんなこんなで迎えた予選会。緊張しながらも予選会を終えると、うっすらと感じる手応えに、期待に胸を膨らませました。するとその後、審査をし ていた先生から職員室に呼び出されたのです。「応用部門に出てみない?」先生からの驚きの一言でした。
エステティックコンテストには基本部門と応用部門があります。基本部門は主に一年生、応用部門は主に二年生が出場しており、一年間経験を積み、 その中でも学校の代表として参加する二年生と戦うのは、エステを始めてからまだ数ヶ月の私にとって無謀とも言える挑戦です。それでも先生は期待 を込めて私を選んでくれたのかな、私なら出来ると思ってくれているのかな。そんな気持ちがこみ上げました。
こうして応用部門に出場を決めた私は予選会の時よりもより練習に励みました。しかし私は自他が認める程の不器用人間なのです。一つのことに集中 すると他が見えなくなり、完璧に出来ているように思えて実はどこかが抜けている、なんてことがしょっちゅうでした。
ベッドセッティング、ご案内、クレンジング、フェイシャル、マスク、ボディ。私にとってこれらを全部こなすのは難しい以外何でもありません。朝 と放課後の練習を繰り返す毎日。どうにかして二年生と戦えるレベルになろうと必死でした。出るからにはいい結果を残したい。その一心でした。 本番当日、出番を待っている選手たちがリラックスをしている中、何度も何度も頭の中でシミュレーションをしました。高校の部活動でも本番の前、 必ず行っていたことです。とにかく冷静に本番を迎えるための、力を百パーセント出せるようにするための、私にとってとっても大切なこと。緊張で 頭が真っ白になり、記憶がない本番だけにはしたくありませんでした。
あとは練習したものをそのまま出せばいいだけです。しかし本番での私はそれが出来ませんでした。あんなに確認したのに大事な手技が飛んでしまい 、手が震えました。コットンがうまく持てなくなりました。ひとつ失敗してもまだチャンスはある!と分かっているのに、一度の失敗で集中力が保てな くなり、また失敗。大事な本番でミスを繰り返しました。まさに大失敗。ああ、もうだめだ。もう一度本番をやり直したい。悔しい気持ちが溢れ出ま した。
そんな気持ちでの授賞式はその場にいるのが苦痛でした。絶対無理と分かっているのに、もしかしたら名前が呼ばれるかもしれないとどこかで期待し てしまうのです。仲間たちの名前が呼ばれるのを聞きました。喜べませんでした。羨ましくて、悔しくて、そんな仲間たちを素直にお祝いできない自 分が、恥ずかしくてたまりませんでした。しかし審査員の先生の講評を聞いたとき、私は目が覚めました。
「応用部門のテーマは『アンチエイジング』今回はそれが意識されてない人がたくさん見られました」
目から鱗でした。頭の中は失敗したことばかりで、そちらにばかり気を取られていたのです。そんな中に飛び込んできたその言葉は、まさに図星。私 は自分が『アンチエイジング』の施術をしていると分かっていながら全くと言っていいほど「どんなお客様に施術をしているのか」を意識していなか ったのです。
年を召したお客様にするマッサージ。コンテストのモデルがもし生徒ではなく、本物のお客様だったらどうなっていただろう?私の施術は見た目ばか りのエステ。きっと使い物にならなかったでしょう。
失敗以前の問題だ、と自分に呆れました。しかし成功で終わってしまったらこんなに審査員の先生の言葉が心に染みなかったかもしれません。嬉しさ ですぐ忘れてしまったかもしれません。初めてコンテストに出て良かったと心から思えた瞬間でした。
それはコンテストで得られる賞よりも何倍も大切なことなのです。
エステティシャンはお客様の夢を叶える手助けをする仕事です。体の悩みを解決したくて訪れるお客様。私たちがお客様の心に寄り添えなければその 手助けをすることはできないのです。しかし中にはただ施術を繰り返す毎日になってしまっているエステティシャンもいるかもしれません。頭では考 えていても心ではお客様のことを考えられないエステティシャンがいるのかもしれません。
今私は、お客様の心に寄り添えるエステティシャンを目指しています。
その為には心遣いだけではなく知識が必要です。技術も必要です。
あと一年経てば私もお客様を迎える立場。自分の意思を強く持ち、学ぶ気持ちを大切に過ごしていきたいです。

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