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2017年第7回エステ感動物語 最優秀作品賞

第7回エステティックグランプリのエステ感動物語 エステティシャン部門の受賞作品をご紹介します。


第7回最優秀作品賞

オージャス

田上 沙織

2017年第7回エステ感動物語 最優秀作品賞「お客様に寄り添う大切さ」

私には苦手なお客様がいました。
お客様は神様だとか、来ていただけている事に感謝しないといけないとか、そういうことは頭の中では分かっておりましたが、専門学校を卒業して、社会人一発目。
まだ考えも人生経験も何もない私は、自分のことでいっぱいいっぱいでその様な考えを出来ていませんでした。
そのお客様は私と年齢が近く物事をはっきり言われる方でした。
週に1 回、フェイシャルケアをされていたのですが、サロンに来てくださってる時はいつも疲れてる感じで、スタッフが話しかけても目も見らず携帯電話を触りながら会話を返される方でした。
いつもお手入れに入るスタッフはベテランの方たちばっかりでした。
それなのに「早くお手入れを終わらせたいので予約を詰めて入れてください」といつも帰られるとき言われており、だったらなんで契約されたのかな?と私はいつも思っておりました。
とあるとき、ベテランのスタッフの方々が研修でお店を抜ける日がありました。
しかもその日はそのお客様の予約が入っている日でした。
私たち同期は3 人いたのですが、その同期メンバーで予約表を見ながら、「嫌だなあ、怖い人でしょー?」と話しておりました。
私はあんまり口にはしませんでしたが、絶対入りたくない。と心の中では思っておりました。
その日は別の同期が入る事になり、「あー嫌だ嫌だ」と言いながらお手入れに入っていきました。
そのサロンはお手入れ後にいつもお客様からアンケートを頂いているのですが、そのアンケートに
「担当を変えてください」
と一言、書いてありました。
その同期は、やっぱりあたしには〇〇さんは合わないね。と、一言呟きました。
研修から帰って来たベテランスタッフにそのことを報告しました。すると、
「その人はそういうお客さんだから気にせんでいいよ」と。
私はそれを聞いて悲しくなりました。
私も入りたくないなあ。と思っていたお客様でしたが、そんなサロンのスタッフから影で色々言われて、お客様も早くエステを消化してしまいたい。
なんて思うことは異常だなと思いました。私が思い描いていたエステティシャンとは違うなと思いました。

ほんとにそんなに悪い人なのかな?いつも疲れてるけどなんで疲れてるんだろう。
疲れてるのになんでいつもお手入れに来てくれてるんだろう。

私は色々考え、次の予約の日にちの時に、店長に、「一度〇〇さんのお手入れに入らせてください」と、お願いしました。
そうすると店長は、
「結構色々言われる方だけど大丈夫なの?」と私に言ってきました。
私は、店長までこんな言うんだ。このお客様に何があるんだろう。と不安な気持ちにもなりましたが、今更引き返せず、
「大丈夫です。お願いします」と言いました。
私は、ただ接客をよくする。とか、楽しいお話をする。とかでは足りない。
疲れて来店される原因はなにか。どうしてフェイシャルをご契約してくださったのか。
何に悩んでいらっしゃるのか。色々そのお客様に興味が湧いてきました。
カルテを何回も見て、お肌のお悩みを調べ、どんな会話をスタッフとしてきたか。
今までの30 枚近くのアンケートを全部把握し、私の中での万全の体制で予約の日を迎えました。
自己紹介をして、お悩みを伺いながらフェイシャルに入ります。
新人だと知ってらっしゃるので、話しかけても素っ気ない態度に心が痛みました。
しかし私はこの1時間のお手入れのために準備してきたものを無駄にしたくなかったので、精一杯寄り添いました。
その1時間が3時間くらいに思えました。

お手入れが終わり、アンケートを書いて頂きお客様が帰られた後、そのアンケートを覗くと、
「また次回も担当をしてください」
と、書いてありました。
私は信じられなくて何度もそのアンケートを読み店長に報告をすると、スタッフみんなびっくりしていました。
エステティシャンの経験はまだ全然未熟な私でしたが、お客様に寄り添うと、技術がベテランの先輩には及ばなくても、理解したいという気持ちがあればこうやってありがたい言葉をいただけるんだなあと初めて知りました。
そこから1 年間そのお客様の担当をさせてもらいました。1 年たって私はそのサロンを辞め、新しい道を進みました。
そのお客様に退職をお伝えすると、泣いてくださり、次の日お菓子をわざわざ持ってきてくださりました。
最初は苦手だな。と何も関わったこともなかったのにそう決めつけておりましたが、何度かお手入れに入らせていただくにつれ、お肌のお悩み、お仕事の話。プライベートの話。好きな芸能人の話など、最初とは想像も出来ないほど、そのお客様は色々お話をしてくださりました。
もっとこうした方が過ごしやすいサロンになると思う。など言いにくいことも沢山言ってくださりました。

本当に感謝でいっぱいです。

今はもうそのお客様とお会いすることがなくなりましたが、お客様に寄り添う大切さを気付かされた大きな経験になりました。

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